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炭素繊維強化プラスチック(CFRP)について

CFRPとは?

2つ以上の素材を組み合わせた複合材(コンポジット)の一種で、
炭素繊維(カーボンファイバー)を強化材として加えたものを
CFRPCarbon Fiber Reinforced Plastics=炭素繊維で補強・強化されたプラスチック)と呼びます。

炭素繊維には、高剛性高強度といった特徴以外に「導電性耐熱性低熱膨張率自己潤滑性X線透過性」といった特徴も兼ね備えています。
それらの特徴を生かすことで軽量化大型化小型化省エネ化などが期待でき、航空宇宙、自動車・バイク、スポーツ、医療、建築など、様々な用途で幅広く使われています。

炭素を、繊維という形で生成したのが炭素繊維であり、カーボンファイバーです。
線状の炭素を作るのはそれほど難しくありません。例えば日本の竹から作ったエジソンの白熱電灯用炭素フィラメントが有名です。しかし、炭素の結晶構造(グラファイト)を制御して欠陥のない均質で高強度の炭素繊維を作ることはたいへん難しく、今から60年ほど前、その炭素繊維に強度を与えたことが革新的でした。炭素繊維を最初に作ったのは米国のユニオンカーバイド社でしたが、それとほぼ時を同じくして、通商産業省(現・経済産業省)工業技術院の進藤昭男博士が『ポリアクリロニトリル』というアクリル繊維を使ったPAN系炭素繊維の基本技術を発明しました。

アクリル繊維を使った炭素繊維はPAN系とピッチ系に区分されます。
もう一つのピッチ系は石油・石炭などの副生成物を原料とした物を高温で炭化して作った繊維を指します。
 
炭素繊維用の原料になる繊維(プリカーサ)の直径は1本当たり5~15ミクロンと、髪の毛の10分の1ほどしかありません。その細い繊維を耐炎化処理後、加熱炭化処理することで強固な炭素繊維が作られています。炭素同士の結合は非常に強固でありながら密度は低い。つまり、軽くて強いことが最大の特徴となっています。
強度は鉄の約10倍程度あり、密度(体積当たりの質量)は鉄の約4分の1程度です。
比強度(重量当たりの強度)は約40倍という軽量化による省エネルギーに大いに貢献できる機械的特性を持っています。強度だけでなく弾性率も高いという特性は他の材料ではまず到達できません。現在、私たちのまわりにある製品に広く適用されている工業材料の中で、人類が手にした最強の材料と言えます。
ここで言う強度と弾性率の違いをごく簡単に表すと、強度とは“壊れにくさ”であり、弾性率とは“変形のしにくさ”です。
つまり、部材に求められる強靭さの条件が同じならより軽く作ることができ、同じ重量ならより強靭に作れるのが炭素繊維です。
 
PAN系炭素繊維の材料となるポリアクリロニトリルは衣料品などにも用いられる一般的な材料ですが、炭素繊維の材料に用いられるのはそれとは異なる特別なポリアクリロニトリルです。この材料を見つけたことで炭素繊維の性能が大幅にアップしました。

これは炭素繊維を樹脂の強化材として用いたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics/炭素繊維強化プラスチック)と呼ばれる複合材料です。
CFRPはエポキシなどの樹脂を母材として炭素繊維を強化材に用いるが、この複合材料としての用途こそ炭素繊維の価値といえます。

CFRPは

  • 母材となる樹脂を何にするか
  • どんな炭素繊維を選ぶか
  • 炭素繊維をどのような方向で入れるか
  • どのような製造方法で作るか

といった選択肢によって、使用する部位ごとに適性化されたさまざまな特性を付与できます。
例えば同じ航空機の中でも、主翼など真っすぐでとにかく強度を高めたい部位には炭素繊維を単一方向に並べたCFRP、曲がりくねった部位にはファブリック材(織物)のCFRPと使い分けられています。

CFRPは炭素繊維ならではの強靭さを保ったまま、任意の形状に成形が可能です。

その結果、産業機械から航空機、レーシングヨットなどの船体やスポーツ用品に至るまで、幅広く普及することになりました。
CFRPとしての市場は1980年代から徐々に開拓され、1990年代後半から産業用途が急増。特に2010年以降は急速に需要が拡大し、今では1兆2464億円の世界市場規模(2020年時点)にまで拡大しました。
今後もさらに市場は拡大し続け、2035年には現在の3倍近くにまで達するという予想もあります。
大きなものでは長さ100mを超える風力発電機のブレード。たわみを防ぐために、スパーキャップと呼ばれるCFRP製補強板が不可欠となります。

将来的な市場の中で特に期待されているのが、風力発電ブレード用途です。
私たちジェイスプリームは、ジェイポートグループの一員として、国産カーボンブレードの研究開発に取り組んでいます。

風力発電のブレード本体はガラス繊維複合材料(GFRP)で製造されますが、大型のものだとブレードがたわんでしまい、支柱にぶつかったり破損したりする可能性があります。
そこで、たわみを防ぐために、ブレードの中にCFRPのスパーキャップと呼ばれる補強材を入れます。現在、世界中で風力発電は増加しており、今後も洋上風力などでブレードが大型化されるといわれていますから、CFRPの需要はますます高まっていくと考えています。

エネルギー分野の他に、自動車用途も拡大が期待される分野の一つ。
車体の軽量化が航続距離などの性能と直結するEV(電気自動車)などにおいてはさらなる高性能化を実現する材料として普及が目指されるほか、軽量性や高強度が求められるFCV(燃料電池車)用水素タンクなどもCFRP以外に選択肢がない部位の一つです。
他の材料で代替が効かないところこそ、CFRPの強みに違いありません。